奥京都MaaS 2020年度編
出典:JR東日本
概要
奥京都MaaSは京阪ホールディングス株式会社、京都市、京都市観光協会、東日本旅客鉄道株式会社(以降JR東日本)が京都の奥座敷と呼ばれる大原、八瀬、鞍馬・貴船などの洛北エリアで2020年10月27日から2021年1月31日まで行ったWeb型MaaSの実証実験です。※2020年度は終了しています。
①京都市内中心部の混雑緩和
②地域観光消費額の増大と分散化
③朝観光・夜観光の促進による観光時間帯の分散化
これらの課題を解決するため、京都市内中心部から少し離れた地域を周遊できる観光チケットが販売されました。
出典:京阪ホールディングス株式会社 プレスリリースより
奥京都MaaSは国土交通省の令和2年度日本版MaaS推進・支援事業」において、新たなMaaSの構築を牽引するモデルプロジェクトに選定されています。
なぜ京都での実証実験なのにJR東日本が関係しているかというと、検索・手配・決済の3つの機能をオールインワンで提供するJR東日本の「モビリティ・リンケージ・プラットフォーム」をベースにサービスが構築されているからだそうです。
出典:JR東日本 プレスリリースより
JR東日本と連携を図り、JR東日本アプリで京都を経路検索に含めると奥京都MaaSが告知されるという広告方法も行っていたそうですが、コロナ禍ということもあって関東からの観光客は少なかったかもしれません。
奥京都MaaSでは利用者自身でカスタマイズ可能な行程管理機能が搭載されています。こちらで提案されたルートを参考に、24時間・36時間乗り降り可能な鉄道・バスの特典付きデジタルパスを使い京都市内の北部を中心に周遊することができます。乗り物乗車券に加え飲食のデジタルチケットも販売されました。ことことなび同様にデジタルスタンプラリーも行われました。
販売された交通パスは3種類で、叡山電車と京都バスの乗り放題サービスが含まれています。
大人 2,200円 こども 1,100円
ⅱ奥京都MaaS交通パス【叡山電車&京都バス(洛北地区)24時間】
大人 1,600円 こども 800円
ⅲ奥京都MaaS交通パス【叡山電車24時間】
大人 900円 こども 450円
これに加えて叡山ケーブルとロープウェイの往復券がオプションとして1,440円で販売され、比叡山観光にも活用できるように拡張的なサービスも用意されていました。
私の体験日程・内容
↓(京都バス利用)
出町柳駅前
↓(叡山電車利用)
一乗寺駅
↓(徒歩)
詩仙堂、金福寺観光
↓(叡山電車利用)
市原駅
↓(徒歩5分の市原バスターミナルから京都バス利用)
鞍馬着
↓
鞍馬寺観光
↓山道を徒歩で貴船神社へ
貴船神社観光
↓貴船口から市原バスターミナルまでバス利用
↓市原から出町柳駅まで叡山電車京都バス利用
↓
京都駅
奥京都MaaSで私が購入した「奥京都MaaS交通パス」【叡山電車&京都バス(洛北地区)24時間】では24時間、叡山電車と京都バスの指定された区間を自由に乗り降りすることができます。まず叡山電車を利用するため、JR京都駅から出町柳駅まで京都バスを利用しました。もうここから交通パスの適応区画は始まっているので、インターネットからチケットさえ購入していればお金の心配はありません。大原ゆきのC3というバス停から今回は出発しました。約30分バスに乗っていると出町柳駅に到着します。
↑帰りに撮ったので暗いですが、このバス停からでています。
出町柳駅から叡山電車に乗り北上していきます。目的地の鞍馬寺や貴船神社に行く前に、一乗寺駅で途中下車して詩仙堂と金福寺の観光に向かいました。途中下車してまた乗って。ということを時間内なら何度でも定額で行えるのもMaaSの良いところです。
↑叡山電車の中です。窓が広くとても開放的です。
一乗寺駅から詩仙堂へは歩いて10分ほど、さらにそこから金福寺へは5分ほどで到着します。紅葉の綺麗な時期に奥京都MaaSは行われており、どちらのお庭でもとても綺麗な紅葉を見ることができます。記録し忘れていたのですが、金福寺では奥京都MaaSの利用券を見せると団体割りを適用した値段にしていただけたと思います。
↑詩仙堂での一枚。紅葉の絨毯にお地蔵さんが映えます。
一乗寺駅周辺は京都の中でもラーメン激戦区で有名です。昼食にラーメンを食べ、再び叡山電車に乗りました。
本来終点の鞍馬駅まで叡山電鉄で行くことができますが、昨年7月の豪雨で土砂崩れがおき、市原駅から終点の鞍馬駅までが不通となっていました。そこで京都バスが臨時のバスを運行してくださっており、市原駅からはバスで移動することができました。
市原駅から徒歩5分の場所に市原バスターミナルはあり、そこから鞍馬寺に向かうことができます。もちろん京都バスなので、お金は払わずスマホのチケット画面を見せることで乗車できます。
鞍馬寺はケーブルカーに乗って山を登る必要があります。片道200円です。歩いても登れますが30分山道を登るのは厳しいと判断し、ケーブルカーを利用しました。
鞍馬寺を参ると裏手から山道に繋がっており、貴船神社へ続くミニハイキングを楽しむことができます。30分ほど山道を登り降りしますが、途中休憩できそうなスペースはよくあるので自分のペースで楽しく歩くことができます。
↑空気が美味しい山道です。
山を下ると貴船神社に到着。神社から7分ほど川上に歩き「奥貴船 兵衛」というカフェでカフェラテとわらび餅をいただきました。店内の席数は少ないですがとても上品な接客をしていただき大満足なカフェでした。
↑温かい方冷たい方どちらでも美味しいわらび餅です!
神社のほうに戻ってお参りへ。奥京都MaaS利用者は窓口で粗品をいただけるような表記があり向かったのですが、そのことをわかっているスタッフさんがおらず、、、合っていたのかわからないですが便箋のようなものをいただきました笑 あのときは妙な客で申し訳ありませんでした。
そうこうしているともう夜に。近くのバス停から京都バスで行きと同じく市原バス停に戻り、市原駅から叡山電車で出町柳駅まで戻りました。そこからまた京都バスで京都駅へ。鞍馬寺でケーブルカーを利用した以外全て奥京都MaaSの交通チケットで京都市北部を周遊することができました。
奥京都MaaSの良かったところ・悪かったところ
良かったところ
- My planが意外とすごい
My plan という自分で日程を組むことができる機能があるのですが、当初のイメージよりいいなと思う機能が多かったです。あとでスクショしようと思っていたら2020年度のサービスが終わっていてサイトに入れなくなってしまっていて画像を載せることができませんでした。すみません。来年度も奥京都MaaSが行われれば必ず実際の利用レポートを書こうと思います。
- アプリ型よりWeb型かも?
アプリ版MaaSの「ことことなび」とWeb版MaaSの「奥京都MaaS」の両方を利用してみて、Web版MaaSの奥京都MaaSの方が使いやすいように感じました。その印象はことことなびでルート検索の際外部サイトに飛ばされたので、なら結局Webでいいのでは?と感じたことが影響していると思います。一方でMaaSアプリの「my route」や「EMot」はアプリ上でルート検索ができるので、そちらも体験してから考えをまとめたいとも思いました。
どこかで読んだのですが、アプリ版は利用しなくなると利用者からすると容量と場所を食うだけの邪魔なものになり、結局は消されてしまう。というお話がありました。確かに数ヶ月限定でしか開催されない実証実験のためにダウンロードしても期間が終わると使うことがなくなり、消されるだけだなと思います。そう考えると実証実験はWebから、通年使えるものはアプリで。といった使い分けもアリかなと思いました。(⇨ジョルダンの結川昌憲氏の「MaaSを巡る冒険」という書籍であったと記憶しています。)
- 京都バスの運転手さん、叡山電車のスタッフさん全員が奥京都MaaSを理解して通していただける。
ことことなびの記事でも書いたかもしれませんが、乗り放題区間で乗り物に乗る時、改札などでスマホの画面を見せることになるのですが、全員がスッと通して下さって感動しました。
悪かったところ
- My plan でワード検索ができなかった
- ログイン時に毎回メールアドレスと6桁の暗証番号入力を求められた。
- スタンプラリーの場所が分かりずらい。
まとめ
京阪が初めて行ったWeb型MaaS、奥京都MaaSを体験してみて非常に便利に感じました。自分のチケット画面を見せるだけでバスや電車に乗り降り自由なのは、叡山電車と京都バスのスタッフの方々のスムーズな業務のおかげです。
欲を言うなら、バスと電車以外の移動手段も追加していただけるともっと自由な移動ができたのではと思います。特に最近京都で知名度が上がっているシェアサイクリングのPiPPAも追加されるとより利用者の行動範囲が広がり、それによっていい意味でより多くの経済効果を生み出せるのではないかと思います。
少々強引な繋ぎになりましたが、次回はPiPPAを実際に体験したリポートを投稿したいと思っています。過去の投稿も合わせてお読みいただけると嬉しいです。この度はご覧いただきありがとうございました!
(サイトを使用中の画像をもっと使いたかったのですが、スクリーンショットを完全に忘れていました。大反省です。2021年度も実施されればパワーアップした奥京都MaaSのリポートをしたいと思います。)
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